「PLC」と「DCS」の違い

工場で使用される様々な電気設備の紹介

 産業で使用されているPLCとDCSについて、知っておきたい基本構成と各部品の役割についての基礎知識、PLCとDCSの違いについて紹介します。

PLC

PLCは電気室や稼働設備の近くに制御盤として設置されるもので、基本構成は

①PLC本体で使用されるDC24Vの電源を作る「直流電源ユニット」

②ラダー回路計算(リレー回路動作)、制御用計算(PID制御演算)を行う「CPUユニット」

③CPUでの計算結果を外部機器に出力する「I/Oユニット」

④PLCの動作状態の表示と人からPLCへの操作を行うための「タッチパネル」※主に制御盤の盤面に取付

の4種類で構成されています。

代表的なメーカーとして三菱、シーメンス、東芝、横河、日立などで販売しており、メーカーによって名称が異なり混乱してしまいそうになりますが、いずれも基本構成と基本機能は、①~④同じものとなっています。

PLCのI/Oユニットは外部との入出力の種類によって、4種類に分かれています。

①センサなどの検知でONとOFFのどちらかをパルスでPLCに入力をさせるためのDIユニット

②モータなどを動作させるために、PLCからリレーへONとOFFのどちらかをパルスで出力するDOユニット

③流量計や圧力計から測定値をアナログでPLCに入力をさせるためのDOユニット

④モータバルブやインバータなどを連続的に動作させるために、PLCからモータバルブやインバータなどの動力制御機器本体へ可変入力値をアナログで出力するAOユニット

これらのユニットは、制御機器(センサ、リレー、流量計、インバータ、、、)と制御用電線で接続され、0~5V、0~10V、0~24mAのいづれかの電気信号でやり取りする仕組みとなっています。

DCS

 DCSは、常時監視するような場所に監視画面用のパソコンが置かれ、PLCのCPUユニットやIOユニットに該当する機器は、PLCと同様に電気室や稼働設備の近くに制御盤として設置されるものです。

 PLCよりもはるかに高額なものですが、PLCと異なる点として以下があげられます。

①ソフトの改造場所がCPU機能がある電気室や稼働設備の近くまで移動せず、監視画面から遠隔で行える。

②ソフト改造のタイミングが、PLCではシステムを止めること前提としていますが、DCSでは監視画面でシステムの状態を見ながら行うので、起動中の改造や変更を許容できる仕組みとなっている。

③故障において、PLCもDCSも電子機器であるため、部分的な突然の故障は発生するものですが、DCSは故障が発生しても、システムの長時間停止につながらない仕組みになっている。

以下表にPLCとDCSの機能の違いについて紹介します。

日本国内で使用されている代表的なDCSとして、横河(製品名:CENTUM)とアズビル(製品名:Harmonas)を挙げて、DCSの基本構成と基本機能を紹介します。

横河(製品名:CENTUM)

※横河社のHPより引用

アズビル(製品名:Harmonas)

※アズビル社の機器資料より引用

PC機器

 横河では、画面の監視・操作とデータの長期保存を行うソフト(ミドルウェア)が組み込まれたPCを「HIS」、ソフト修正・改造を行うためのソフト(ミドルウェア)が組み込まれたPCを「ENG」と呼んでいます。

 アズビルでは、画面の監視・操作とデータの長期保存、ソフト修正・改造を行うソフト(ミドルウェア)が組み込まれたPCを「DOSS_HH」、画面の監視・操作とデータの長期保存を行うソフト(ミドルウェア)が組み込まれたPCを「DOSS」と呼んでいます。

 ミドルウェアは、特定のOS(windows、Mac、Linuxなど)のソフトが入っている状態でソフトとして組み込み実行できる仕組みとなっています。横河の場合、OSはwindowsに限定されます。

 DCSは、OSの世代(windowsXP、windows7、windows11など)によっても、組込み可能なミドルウェアが限定されるため、windowsの世代が変わるたび、メーカー各社は新たなミドルウェアを制作します。そのため、10年以上の長期間使用していたDCSは、修理の際、メーカーからメンテナンス期間終了によりPCを中心とした機器が修理できない旨を伝えられ、大幅なコストで更新を行わなければいけないことが課題です。

 

コントローラ

 PLCのCPU機能の役割をする機器を、横河では「FCS」、アズビルでは「DOPC」と呼んでいます。

いずれもPLCとは異なり、演算機器であるCPUが二重に組み込まれパラレル動作をしているため、片方の突然の故障でも制御システムが継続して動作する仕組みとなっています。

I/Oユニット

 横河では「FIO」アズビルでは「ベースユニット型I/O 又は シグナルユニット型I/O」と呼んでいます。通常、I/Oユニットは12~24程度の端子で一つのユニットになっており、すべての端子を使い切ることは、なかなかありません。それを考慮して、DCSのI/Oユニットは、PLCのようにI/Oユニットが4つ(DI、DO、AI、AO)に分かれておらず、ソフトの設定で変更できるため、空いている端子を故障時の代替として使用できる仕組となっています。

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