ここでは、理系の方向けに、企業の面接官が重要視するやりたい仕事と企業側の事業方針のマッチングを調べる手助けとして、さまざまなメーカーを取り上げ、いろんな事業情報を基に、その企業の特色と力を入れて取り組もうとしている事業（仕事）が何かを紹介してゆきます。
今回はJX金属を取り上げます。
非鉄金属業界で前回、三菱マテリアルについて取り上げましたので、比較したときの特徴についても触れたいと思います。JX金属では、資源事業・金属リサイクル事業・機能材料事業・薄膜材料事業・タンタル・ニオブ事業の６つの分野(組織)に分けて事業を行っています。このうち金属リサイクル事業の内容は、DOWAホールディングスの金属加工・精錬・環境リサイクル、三菱マテリアルの銅加工・金属・環境リサイクルで手掛けている事業と同じです。JX金属の特徴としては、「電子基板材料に組み込まれるような薄い銅の板（膜）にする機能材料事業」、「半導体製造時に使用する金属円盤を作る薄膜材料事業」「電子部品であるコンデンサに使われる金属粉を作るタンタル・ニオブ事業」と、他の会社では高機能商品としてひとくくりの組織にまとめてしまいそうな分野を、あえて分けた事業の組織体制としていることです。
DOWAホールディングスのようにホールディングスではないため、全事業全体での長期的戦略を、三菱マテリアルのように掲げています。JX金属が指し示す長期的戦略は以下のようなことです。
では、この戦略目標に対し、各事業の役割分担とそれぞれの事業が目指す形を考えてみましょう。
金属リサイクル事業は、装置産業型事業ですので構造改革、つまり規模の縮小を進めて効率化する方針を示しています。DOWAホールディングスの金属加工・精錬・環境リサイクル、三菱マテリアルの銅加工・金属・環境リサイクルというように他社では複数の事業に分けているものを１つの事業にまとめているのも、その理由からだと考えます。縮小した分の人員は、技術立脚型の事業に移動させていくことも方針として掲げています。一方、この事業は、SDGｓで掲げるような「環境負荷のないすべての資源を廃棄させず循環させる社会」には欠かせない事業でもあるため、今後、規模は縮小させながらも、CO2・硫黄酸化物・窒素酸化物の排出といった環境影響の負荷低減設備、省エネ設備、情報通信技術を駆使した生産の効率化といった最新技術の導入を進め、循環型社会の中で、環境負荷やエネルギーの使用量に関する国の課税が課されても、事業継続が可能なように設備改造を繰り返すと考えます。そういった仕事を行いたい方には向いているかもしれません。
機能材料事業、薄膜材料事業、タンタル・ニオブ事業は、金属リサイクル事業の営業利益が170億円に対し、3つの事業すべてで270億円で１事業あたりの平均利益が90億円ほどと、それほど大きくありませんが、少量多品種の高付加価値製品ラインナップを方針に掲げているため、この3事業に留まらず、今後、新たな製品の開発ができ次第、別の事業を立上げて投資していくと考えることができます。各事業の利益はそれほど大きくないとしましたが、比較的、新しい事業の１事業あたりの平均利益が90億円ということは、十分な開発力があるとも言えます。事業の主軸を金属リサイクル事業から別の材料事業に転換しようとしているので、金属化学製品等の開発を行いたい方には、ある程度の自由が利き、やりたい方向が一致しているかもしれません。しかし、一方で、新たな収益源を築くことは決して簡単なことではないので、自分の行っていた仕事の事業が収益源とならない場合、どんどん別に立ち上げた事業へ配置転換されていってしまう可能性もあることを認識しておく必要があります。
もっと、この会社の事業方針を知りたい方は、会社HPのIR資料を見るとより詳細が知れると思います。また、実際の仕事内容について、どのようなことをするのか知りたい方は、最終的に企業を訪ねるのがベストですが、それによって企業に第一印象を持たれるのが怖い、まだ、そこまでしたくないという方は、転職エージェント経由で仕事内容を教えてもらう方がよいと思います。
理系（機械・電気電子・情報）出身の希望者は
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それも、まだ、早いという方は、以前に素材メーカーの電気技術者の業務内容について投稿しましたので、今回の企業の事業範囲をご覧ください。
エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務（四回目 圧延設備） – もしも目指すなら (mazasunara.com)
エネルギー・素材メーカーの工場における電気技術者の業務（五回目 アーク炉） – もしも目指すなら (mazasunara.com)
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