企業の歴史は、その企業が延びるための独自の考え方が見て取れます。また、企業の組織図からは、事業をどのようの拡大させたいかの意図が見て取れます。そこから想定できる社員に求められる社員像を紹介したいと思います。是非、就活、転職の参考にしてみてください。
長い歴史を持つ企業であればあるほど、社会のニーズの変化は避けられないため、何らかの形で、事業内容の方向転換を必ず行っています。企業の歴史を見ると、事業内容のシフトの仕方によって、その会社の考え方が見えてきます。例えば、同じ繊維業界に属する企業の帝人と東レの歴史を比較してみます。ともにレーヨン繊維からスタートした事業は、コスト競争力の良さから合繊繊維へシフトしてゆきます。繊維から繊維ですのでこの転換は自然な流れですが、ここから、帝人は全く新しい生物学研究をはじめて医薬品事業を始めとして様々な事業を立上げます。その後、炭素繊維事業を行っていた東邦レーヨンの株を部分買収して炭素繊維事業に参入。そして近年、IT事業を主要事業に位置付けています。このように帝人は、社会のニーズの変化に順応するため、業種を問わず参入するという考えが見て取れます。異業種への転身が求められる企業なわけですから、変化に順応できる社員像が求められるわけです。帝人HPの採用情報にも、「変化を糧に成長できる人財」と打ちだしています。
一方、東レは繊維事業の派生として、フィルター繊維の技術を他分野に展開することで、透析医療機器、水濾過機器というように、幅広い市場からこれまでの事業の強みが生かされる部分的な需要を取り込んで、事業の裾野を確実に広げています。このように東レは、川上の事業である素材から川下にあたる製品にして多様化するニーズに新たな価値を創造して、答える事業の形へシフトしています。育てた事業ノウハウを大切にする考え方が見て取れます。事業ノウハウを大切にすることは、人材を大切にするということです。そのため、人を深く尊重できる人材が、求められる社員像となります。
このように企業の歴史を見ると、事業内容のシフトの仕方によって、その会社の考え方が見えてきます。企業が生き残ってゆくための考え方は、企業の社風につながり、そこに勤める社員たちの性格影響してゆきます。
もう一つの組織図からは、競争環境や注力している事業が見えてきます。住友化学と三井化学の組織で比較してみます。住友化学の「エネルギー・機能材料事業」の内容は、三井化学の「モビリティー事業」に相当し、住友化学の「健康・農業関連事業」は、三井化学の「ヘルスケア事業」と「フード&パッケージング事業」に相当します。組織の部門名から、研究分野で分かれている住友化学は広い範囲のニーズを囲い込もうとしていて、使用用途に分かれている三井化学は特化した事業にしようとしていることが伺えます。研究分野で分かれると社員には部門に特化した専門性の高い事業ノウハウが身につきます。使用用途に分かれると複合的な技術が必要になるため社員には広い部門での事業ノウハウが身につきます。これがそのまま社内で重視される要素となるので、住友化学は熟練度が重視され、コツコツ学ぶ性格、年功序列を第一に大切にする。三井化学は、改革とリーダーシップを果たせる性格、コミュニケーションを第一に大切にする。こんなことが想像できます。
住友化学
三井化学
変化の少ない職場は、まったりとした性格が多くなりますし、コア技術を長年維持できている事業職場は、プライド意識の高い性格が多くなるように職場雰囲気が社員の性格に与える要素は比較的大きなものです。極端な偏見を持ってはいけませんが、会社選びの参考に調べてみてください。
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