モータの制御 V/f制御とは

絵と波形でわかるインバータの仕組み

インバータによるモータの回転速度制御方法で一般的に使用されるV/f制御は、ただ周波数を変化させて回転数を変える場合とくらべ、モータ磁気飽和を考慮しているため、発揮できるトルクが大きいのですが、その制御の考え方を解説します。

インバータから発生させるV/f制御の電圧波形は、以下のように周波数が高くなるも電圧を高くなり、周波数が低くなると電圧も低くなります。ここには、磁気飽和を考慮した考え方があります。

磁界を作り出す磁束は一つの空間に発生できる限度があります。それは物質の透磁率によって決まってきます。モーターの場合にも、固定子コイルの中の鉄心にも磁束の発生限度あり、コイルの中の鉄心に発生できる磁束が限界に達して、それ以上磁束が増えず磁束密度が変化しなくなることを磁気飽和といいます。

コイルのリアクトルとしての機能(※)は、コイルの内部磁束の量が変化することにより成立し、コイルの内部の磁束が変化しない場合(磁気飽和となった場合)、コイルは電源電圧に対す誘導起電力を失うため、コイル内は短絡回路となって大きな電流が流れてしまいます。つまり、交流電源で周波数が著しく小さく、一方の方向に電流が流れ続けた場合、コイル内部は磁気飽和となり、コイルは短絡回路となります。

(※)コイルのリアクタンスの機能の仕組みがわからない場合は、この投稿の最後に、「コンデンサとリアクトルで位相差が生まれる理由」というリアクトルの機能と仕組みについての投稿を張り付けてますので、ご覧ください

磁気飽和に至るまでの磁束密度(磁束の発生量)は、以下のように電圧の大きさと印加時間の積で決まってきます。

このようにモーターのコイル内部の磁束密度が高すぎると磁気飽和を起こし、コイルは短絡回路となってしまいます。一方で、モーターのコイル内部の磁束密度が低すぎると、モーターの回転軸を引き付ける力がなくなってしまうため、回転に必要なトルクが失われてしまいます。したがって、モーターのトルクを維持したまま回転数を上げるためには、インバータの電圧波形の面積を常に一定に保っておく必要があります。

V/f制御とは、上記のように回転する力であるトルクと磁気飽和の影響を考慮して回転数を周波数で制御する方法で、周波数(f)が高いとき、一周期の時間が短いため、その分、電圧(V)を高くして制御し、周波数(f)が低いとき、一周期の時間が長いため、電圧(V)を低くして制御します。つまり、V/fを一定に保った制御となります。

コンデンサとリアクトルで位相差が生まれる理由 | もしも目指すなら (mazasunara.com)

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