フェランチ効果ってどのようにして起きる現象?

絵でわかる送配電の仕組み

送電端の電圧よりも受電端の電圧が高くなるフェランチ効果は、需要先の負荷が低くなったとき、送電の電圧降下が、受電端の電圧に上昇影響を与えることで発生します。

この現象が及ぼす問題は、送電線の電圧と同じ、もしくは、それ以上の電圧に受電端の電圧が上昇することで、継電器で過電圧誤検知が起きて遮断器の誤動作が発生し、さらに負荷が低くなり連鎖する。また、間接的ではありますが、変圧器やモータの損失(鉄損)が増加し、熱負荷が高くなり、絶縁物の寿命を短くする。このような問題があります。

フェランチ効果は、送電線を介して需要家へ電力を送る系統を以下のような回路で、表現することで現象を理解することができます。ここでは影響の大きな、発電機から需要負荷までの変圧器に含まれるリアクタンス、送電線のケーブルと地面との間で発生する静電容量(コンデンサの影響)、需要家で消費する負荷の抵抗の影響のみで考えます。

発電機側から流れる電流は、ケーブルのωCに流れる位相の進んだ電流と需要負荷の位相の電流が合わさった位相の電流が流れます。

この時、需要負荷の線路を遮断(使用停止)すれば、発電機側から流れる電流は、ωCに流れる位相の進んだ電流になります。

需要負荷の線路を遮断(使用停止)が部分的に行われても、ωCに流れる電流の割合が上がるので、同様に位相が進むことになります。

この時、電圧の関係について考えてみます。電圧についても、発電機側の電圧は、需要側の電圧と変圧器のリアクタンスにかかる電圧(jωLI)の合計となります。「右側の図(ベクトル図)では、横軸の長さ成分を変化する現在時間における電圧の大きさとして表現しています。」

変圧器のリアクタンスにかかる電圧(jωLI)は、jωLに電流Iを掛けて算出されるため、大きさは電流に比例します。また、リアクタンス(コイル)は、電流の位相を90°遅らせるので、つまり、変圧器のリアクタンスの間の電圧位相は、電流よりも常に90°進んだ位相となります。

電流の変化について触れたとおり、需要負荷の線路が遮断されると、電流が小さくなり位相は進みます。そのため、その影響を受ける変圧器のリアクタンスの間の電圧も小さくなり、位相が進むこととなります。その結果、需要側の電圧波形と変圧器のリアクタンス間の電圧波形の合計である発電機の電圧は、需要側の電圧と同じ、もしくは、それよりも低くなります。

このままでは、需要側の電圧は、変化しないため、需要側の電圧が上昇する問題にはなりませんが、発電機では常に電圧を下げないように一定に電圧を維持しているため、発電機側の電圧が上昇することで、需要側の電圧も需要負荷の線路の遮断前より上昇することになるのです。

以上のように、フェランチ効果は、需要先の負荷が低くなったとき、送電の電圧降下が、受電端の電圧に上昇影響を与えることで発生します。

これまでの変化を表現すると以下のようになります。

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