戦艦大和から現代に至るまでの驚くべき技術発展の速さを感じよう(ボイラー)

戦艦大和から現代の技術へ

ここでは、その時代の技術レベルのを示す戦艦大和で使用された技術が、その後、現代に至るまで、どの程度進化しているのかを紹介します。

今回はこの部分です。 スクリューの動力

スクリューを回す動力源であるボイラ

 戦艦大和が海上を進むためのスクリューは、蒸気を羽に当てて回転力を得ています。ボイラはその蒸気を発生させるための設備で、発生させる蒸気は高圧なほど回転力を得られます。現代でもボイラは電力会社の発電設備などで使用されています。ボイラで蒸気を発生させるまでのプロセスは、以下のように蒸気温度を可能な限り上げ、高圧蒸気を得ることができるようなプロセスになっています。

戦艦大和のボイラの構造は、以下のようになっていて、重油燃焼によって得た熱を可能な限り回収するため、斜めの配管をいくつも並べることで、熱を受ける面積を増やした構造になっています。また、重油燃焼の熱を受ける順番も、熱交換効率を考えて、蒸発管③と蒸気をさらに加熱する管④を燃焼個所に近づけ、空気を予熱する管①を外側に配置しています。

戦後、火力発電などで、戦艦大和のボイラの構造をそのまま利用したボイラが以下のような構造となります。ここから、現代にかけて効率が良い高温高圧のボイラになるにつれ、構造が少しづつ変化してゆきます。

高圧で水と蒸気の比重差が少なくなると、ボイラ内の水が蒸気になっても上部に上がっていかず水が循環しなくなくなりました。そのため、ボイラ内の水に均一な熱を与えられるよう循環ポンプが設置されました。【強制循環ボイラ】

現代では、さらに高圧になってゆき、高圧で水と蒸気の比重差が完全になくなる臨界圧力を超える超臨界圧のボイラができています。水は即時、蒸気へと変化するため、水の循環機構そのものが必要なくなり以下のように変貌を遂げました。【還流ボイラ】

利用可能な蒸気圧力は、戦艦大和の蒸気の耐圧力が2.5MPa程度であった時代から、自然循環ボイラの17MPa、そして現代では貫流ボイラの24MPaへと配管強度や制御システム・燃焼技術の高度化により、高温高圧に技術進歩してゆきました。これは、同じ大きさのボイラで取り出せる機械出力が、戦艦大和の時代から現代にかけて9.6倍(24MPa/2.5MPa)に上がったことを意味しています。

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